本種について
自生地
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Aloe decaryiはマダガスカル南部のトリアラ州(Toliara Province)に分布し、特にアンボボンベ(Ambovombe)周辺の海岸沿いの低木林に生育しています。より東へ進んだアンボアサリ(Amboasary)を経て、アノニー湖(Lake Anony)の東部丘陵地帯にかけて広く見られます。乾燥した沿岸の低木林や茂みの中で生育し、この厳しい環境に適応した種です。
株の特徴
本種は基部から分枝して小規模な群生を形成し、細長く直立した茎を持ちます。茎は約1~1.5メートルに達し、頂部に10数枚の葉をつけます。葉は肉厚で鈍い緑色をしており、表面には明瞭な縦縞模様があります。葉の縁には硬く白い鋸歯が約5~10ミリメートル間隔で並んでおり、先端は上向きに湾曲することが多いのが特徴です。
花の特徴
花序は直立し、単純な構造で高さ20~30センチほどになります。総状花序は短い円柱状で、まばらに花をつけます。花柄はピンク色を帯び、長さは約10ミリです。花冠は鮮やかなローズレッドからスカーレットの色合いです。外花被片は基部から完全に分離し、雄しべと雌しべは花冠からわずかに突出します。
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育て方
Aloe decaryiは乾燥に強く、寒さに弱い品種です。
- 日照: 強い日光を好みますが、半日陰でも適応可能です。
- 水やり: 土が完全に乾いてから水を与えます。特に冬季は水やりを控えめにしてください。
- 耐寒性: 霜には弱いため、寒冷地では冬季に室内に移動させることをおすすめします。
その他
本種はAloe antandroiと類似しているとされ、Reynolds(1966)は両者を同種と考えていました。しかし、Aloe decaryiはより頑丈な低木状の成長形態を持ち、葉も均一な緑色で幅が広く、硬い白い鋸歯を持つ点で明確に区別されます。そのため、現在では独立した種として認識されています。
また、Aloe decaryiはその広範囲な分布域にもかかわらず、Aloe antandroiとの中間的な形態を示す個体が見られないことも、独立種としての妥当性を裏付けています。トリアラからマダガスカル南端のツィホンベ(Tsihombe)周辺まで広がる生息域においても、その形態の一貫性は維持されています。
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